映画『かぞくわり』制作記念展

日程 : 平成30年4月15日−5月28日

来春劇場公開予定の映画『かぞくわり』(塩崎祥平監督)の制作記念特別展
映画『かぞくわり』は折口信夫『死者の書』を下敷きとしていることにちなみ、『死者の書』に関する宝物を特別展示いたします。

  • “中将姫願経”『称讃浄土経』(奈良時代)縦27.0cm 『称讃浄土経(正しくは称讃浄土佛摂受経)』は奈良時代に中将姫さまが一千巻の書写をされたと伝わる経巻で、そのうちの一巻が中之坊に残されており“中将姫願経”と呼ばれています。中将姫さまはこの千部写経の功徳により佛の姿を観たとされていますが、小説『死者の書』でもこの伝承が物語の軸をなしています。
    小説『死者の書』を人形アニメーション化した映画『死者の書』(川本喜八郎監督/2006年)では、藤原南家郎女(中将姫)が写経をするシーンにおいて、この中之坊蔵の『称讃浄土経』をもとに制作されたミニチュアの経巻が用いられています。
  • 寺宝「山越阿弥陀」画幅(室町時代)縦90.8cm 横38.1cm 二上山の間から阿弥陀如来が姿を現す様子を描いており、二上山に沈む夕陽を仰いだ古代信仰からうまれたものです。
    恵心僧都が弘められことで全国に類本が伝えられていますが、当図は、阿弥陀三尊に加え聖徳太子と弘法大師を描くことにその特徴があります。當麻寺の多様な信仰を示す仏画として「當麻寺縁起曼荼羅」の別称もある貴重な画幅です。
    小説『死者の書』では、藤原南家郎女(中将姫)が二上山の峯の間に、阿弥陀仏であり、また大津皇子でもある金色の俤(おもかげ)を見ますが、その着想のヒントは『山越阿弥陀』の掛軸から得たということです。
  • 映画『死者の書』セット 當麻寺南大門 および 當麻寺中門 小説『死者の書』は2006年に人形アニメーションの巨匠・川本喜八郎監督により映画化されました。その映画『死者の書』において用いられた當麻寺南大門と中門のセットを特別展示。 南大門や中門は実際の當麻寺には現存しないものですが、当時南面して建っていた當麻寺には存在したかもしれないものとして小説『死者の書』では作中に実際存在するものとして登場します。
    見事に再現された映画セットにより、当時あったかもしれない門の姿を夢想してみてください。

そのほか當麻寺中之坊の所蔵品からは、折口信夫直筆の『死者の書』送り文や、小説『死者の書』初版本、また、映画『かぞくわり』の制作サイドからは、映画に登場する小道具、特に、画家・弓手研平の絵画作品などを展示いたします。

  • 映画『かぞくわり』とは 映画『かぞくわり』は、當麻寺をはじめ二上山山麓の葛城地域を中心に、家族の在り方や役割を描く映画で、2019年1月からの劇場公開が予定されています。
    監督・脚本は、映画『死者の書』の製作スタッフのひとりでもあった塩崎祥平氏で、映画『かぞくわり』は小説『死者の書』のストーリーを現代に置き換えるオマージュになっており、随所に映画『死者の書』のシーンも登場します。
    出演は、主演に元宝塚の娘役トップの陽月華さん。その父親役に小日向文世さん、母親役に竹下景子さん、という豪華な顔ぶれです。
    どうぞ楽しみになさってください。
期間平成30年4月15日-5月28日
受付中之坊
拝観料特別拝観料は不要です。
通常通りの中之坊拝観料(大人500円/小学生250円)で拝観できます。
拝観時間9時-17時
問い合わせ中之坊