夏季特別展『中将姫展』

日程 : 令和4年7月14日−令和4年8月28日

中将姫ゆかりの宝物を一堂に展示する特別展。
令和4年度は、奈良国立博物館にて開催される特別展「中将姫と當麻曼荼羅」(7/16~2/28)にあわせて、7/14~8/28の日程で開催します。
中将姫さまの真筆と伝わる『称讃浄土経』(奈良時代)をはじめ、當麻曼荼羅の山内最古の写本である『當麻曼荼羅・鎌倉本』のご開帳、中将姫さまの舎利が収められている持蓮華『中将姫舎利持蓮華』(鎌倉時代)などが特別公開されます。
最古の中将姫像であるとともに日本最古の女性肖像画とされる『中将姫廿九才像』(鎌倉時代・奈良県有形文化財)は、奈良国立博物館「中将姫と當麻曼荼羅」に出陳となります。この夏、奈良国立博物館と當麻寺の双方に足を運んでいただき、中将姫さまと當麻曼荼羅をご体感ください。

  • 中将姫願経『称讃浄土佛摂受経』(奈良時代)縦27.0cm 中将姫さまが書写された経巻で、黄麻紙をつなぎ謹厳たる写経体で誠実に写経されており、古くから「中将姫願経」の名で知られています。

    『称讃浄土佛摂受経(称讃浄土経)』は、『仏説阿弥陀経』を玄奘三蔵が翻訳した異訳で、無量寿佛(阿弥陀如来)が法を説く極楽浄土の有様と、その浄土を称讃する十方の諸佛のことが説かれており、中将姫さまはこの経巻を書写することによって極楽浄土を体感し、當麻曼荼羅を感得するに至りました。

    奈良時代には光明皇后の忌日にあわせて『称讃浄土経』が大量書写されましたが、中将姫信仰とともにこれらのほとんどが中将姫と関連付けられたため、“中将姫筆”の伝承が加えられた「称讃浄土経」が全国に二十巻以上伝来しています。中之坊巻はこれらの経巻と区別するために、中世に「法如」の奥書が加えられ、“中将姫さま真筆”として大切に伝えられています。
  • 『摩訶迦葉度貧母経』(奈良時代)縦26.0cm 中所姫さまの師である當麻寺第11代別当の中之坊・實雅(じつが)和尚筆と伝わっています。
    『摩訶迦葉度貧母経(まかかしょう・どひんも)』は、お釈迦さまの高弟・迦葉(かしょう)尊者に貧しい女性が米汁を施した故事が説かれるお経ですが、書写や流布の例がほとんど見られない経典で、本品は極めて貴重な遺例です。實雅和尚がその女性の善行を尊んで書写されたのかもしれません。
  • 『絹本著色當麻曼荼羅』(鎌倉時代)縦154.7cm 横145.5cm 鎌倉時代にさかのぼる當麻曼荼羅の縮小写本。縮小の写本は當麻寺以外に数多く流布されましたが、寺内では少なく、特に本作のような古例は貴重な遺例です。
    金泥塗に截金を重ねる諸尊のきらびやかな金彩とともに、光背などに認められる鮮やかな彩色が目を引く美品です。
  • 中将姫坐像(江戸時代) 通常は剃髪堂にお祀りされている像で、中将姫さまの木像としては曼荼羅堂に祀られる像に次いで古い像。
    中将姫像はほとんどすべてが29歳の時の姿(極楽往生を待つ姿)とされますが、この像だけは17歳に剃髪されたときの姿とされています。曼荼羅堂の29歳像と比べてもお若い顔をされています。
  • 『中将姫舎利入 持蓮華』(鎌倉時代) 中将姫の舎利と伝わる宝玉を収めた柄香炉型の持蓮華(じれんげ)で、法会の際に僧侶が手にする法具。江戸時代には、中将姫の所持された持蓮華と信じられたようで、箱には「中将法如念持蓮華」と記されており、大切に伝えられてきました。
    柄香炉型の持蓮華は鎌倉時代以降多く作られていますが、舎利を納めるものは他に類例がありません。中将姫さまのご遺徳を称えるために制作され、7月23日の蓮華会式などで用いられたものと考えられます。
  • 『中将姫山居語』霊鑑寺宮宗栄筆(江戸時代) 中将姫さまが雲雀山で隠棲生活を送った際の信条として伝わっている条文を第111代天皇・後西院の皇女である霊鑑寺宮宗栄女王が流麗な筆致で書いています。
  • ※ 『中将姫廿九才像』(鎌倉時代・奈良県有形文化財)縦142.5cm 横66.3cm 蓮をあしらった美しい衣を着け、『称讃浄土経』に向かう高貴な中将姫さまのお姿を描いています。中将姫さまの最古の肖像画であるだけでななく、女性の単独肖像画としても我が国最古のものとされており、聖衆の来迎する二上山や、「四句の偈」が配され、伝記絵のごとき美しい画面が構成されています。奈良県有形文化財。

    ※ 今展期間中は奈良国立博物館に出陳となります。本展(中之坊)では複製が公開されます。
  • ※ 常設展示の中将姫関連宝物 當麻寺中之坊霊宝殿では中将姫関連宝物を数多く蔵しており、今回の特別展示以外にも、常設で公開されている中将姫関連宝物があります。

    ・中将姫剃髪剃刀中将姫さまが剃髪の際に用いたとされる日本最古のかみそり。

    ・中将姫毛髪刺繍中将姫さまの毛髪を用いて阿弥陀三尊の種字を刺繍したもの。

    ・中将姫絵伝(双福)中将姫さまの生涯を絵伝としてあらわした掛軸。2幅の掛軸14の場面でご誕生から曼荼羅完成までを華やかに描いています。

    ・版木「中将姫絵伝」中将姫さまの剃髪儀式の場面を版画にした版木。(江戸時代)

    ・版木「中将姫御影」中将姫さまのお姿を版画にした版木。

期間令和4年7月14日-8月28日
受付中之坊
拝観料特別拝観料は不要です。
通常通りの中之坊拝観料(大人500円/小学生250円)で拝観できます。
拝観時間9時-17時
問い合わせ中之坊