村上裕二 障壁画 奉納記念特別公開

日程 : 令和7年1月23日~2月24日
  • 日本画家・村上裕二(むらかみゆうじ)画伯による襖17面分の大障壁画が、このたび當麻寺中之坊に奉納され初公開となります。
  • 二つの聖なる山のあいだを游(およ)ぐ巨大な龍 飛鳥時代、當麻寺が開創された際に、役行者(えんのぎょうじゃ)が金堂の前で修法し、熊野より竜神を呼び寄せたといい、その龍神の出現した場所が現在の中之坊です。村上裕二画伯はその伝承をもとに巨大な龍神の姿とその龍神を呼び寄せた役行者(えんのぎょうじゃ)を描きました。
    また、蛇神と竜神は古くから同一視され、中之坊では二上山の蛇神と、熊野の龍神を合わせて祭祀してきました。その祠は「龍王社」と呼ばれていますが、そこに祀られる神さまは寺では「みーさん(巳さん)」と呼ばれています。また、當麻寺の鎮守社である長尾神社は、三輪山の蛇神のしっぽが届いた場所であるといいます。村上裕二画伯はそうした伝承もふえまながら、東側壁面に三輪山、西側の襖4面に二上山を描き、そしてその間を泳ぐ巨大な龍神の姿を描きあげたのです。
    • 日ののぼりくる三輪山~陽のしずみゆく二上山 古来より、三輪山は太陽の昇り来る山、二上山は太陽の沈みゆく山として仰がれてきました。
      村上裕二画伯はそれをもとに、東側の壁面には三輪山と春の日の出を、西側の襖4面には二上山と秋の日没を描きました。それぞれ、「三輪山『時を越へ上る太陽』」、「二上山『太陽は永久の方位へ』」と名付けられています。
      三輪山の日の出と、二上山の日没は、古代の大和の人々の生活の柱でもありました。今回の作品では、巨竜の東西に春の三輪山と秋の二上山を配することによって、季節の移ろいと、自然とともに歩むひとびとの生活までもが感じられる情緒ある作品となっています。
    • 役行者から弘法大師、そして現代へ 作品にはふたりの人物が描かれています。ひとりは當麻に龍神を招き寄せた役行者(えんのぎょうじゃ)。そしてもうひとりは、平安時代に當麻寺に真言密教を伝えた弘法大師・空海です。
      弘法大師空海は弘仁十四年秋に當麻寺を訪れて真言密教を伝え、それ以来當麻寺は真言密教の道場になり、今にその教えが受け継がれています。村上裕二画伯はこのことを、弘法大師が雲に乗って竜神とともに飛ぶ姿であらわしました。
      弘法大師の目の前には金剛杵が描かれていますが、これは唐から帰国した空海に金剛杵が聖地を示したという故事になぞらえたもので、空海があたかも金剛杵に先導されるように尊い仏縁によって當麻の地に導かれてきたという意味がここに示されているのです。そして実はこの絵にはもうひとつ秘密があり、役行者から弘法大師に受け継がれた密教の教えが現代にまで脈々と受け継がれていることを、村上画伯は暗にこの弘法大師の姿に込めたのですが、その秘密は當麻寺中之坊に足を運んでお確かめください。
    • 村上裕二画伯の渾身の大作 村上裕二画伯は日本美術院同人として現代日本画壇の第一線で活躍する日本画家であり、伝統的な絵画はもちろんのこと、ゴジラ・ウルトラマン・仮面ライダーなどのヒーローを日本画で表現し、圧倒的な人気を誇る作家です。2024年には兄であるアーティスト村上隆とのコラボ展も人気を博すなど、ますます充実した作家活動をおくるなか、このたび、歴史ある當麻寺中之坊と縁があり、松村實昭貫主との対話の中で2020年より構想を練りはじめた作品がついに形となりました。壮大な画面に歴史性、物語性がふんだん盛り込まれた、横16メートル以上にわたる大パノラマで描かれた圧巻の大作をご鑑賞ください。
    • 霊宝殿も村上裕二作品を 今回の障壁画特別公開にあわせて、霊宝殿でも「村上裕二展」を併催します。
      五劫思惟阿弥陀仏を描いた「如来様」や深い青色と鮮やかな金色が美しい「月の騎士」ほか、村上裕二の代名詞といえるヒーローものも含め、8点の村上作品を展示します。大障壁画とあわせて、村上ワールドを堪能いただけると思います。
    期間令和7年1月23日~2月24日
    受付中之坊
    拝観料中之坊拝観料500円+特別拝観料300円
    拝観時間9時-17時
    問い合わせ中之坊